鼓舞

 忘年会の締めの挨拶で「ONE TEAM」という言葉を用いる上司に1年後「去年の忘年会の締めの挨拶、自分がなんて言ったか覚えてますか?」って聞くと大多数が「覚えてない」って言うと思う。そういう世俗的な人間は大体軽薄な気持ちでしか発言しないから。

 

 

 

 遂に今年もこの季節がやってきた。出来れば1年で1番忘れたくなるようなイベントこと忘年会、まさにダブルスタンダードの権化。

 今年の年末は四方八方の居酒屋で「ONE TEAM」という言葉が飛び交うに違いない。

中身のある挨拶を考えられない人間にとって流行語というのは非常に使い勝手がいいからだ。

「え~今年もいろいろありましたが来年からも社員一丸となってですね、そう、ONE TEAMで苦難を乗り越えていきましょう、乾杯!」みたいな文言が発されまくるのだろう。そしてそれを受けて大半の社員は心の中で「うるせえよ誰がチームの一員だ、肉体的には在籍していても精神的にはとうの昔に脱退しとるんじゃ!」と喚きながら表面上は引き攣った笑顔で「カンパーイ!(笑)」と唱和するのである。その様はなんというかもう笑っていても実質笑っていない男だし、「完敗~!」と言いながら社会に完敗してしまった男だ。

 

 

 

 そんな鬱屈とした世の中だからこそ個人的に今年の流行語は「ナイスですね!」であるべきだと思う。忘年会では「ONE TEAM」より「ナイスですね!」を多用してもらいたい。

「いや~資料紛失過多夫くん、今年もいろいろな資料を紛失してしまったけれど何回注意してもめげずに資料を紛失してくるその心意気、ナイスですね!」

「遅刻大杉屑太郎くんねぇ、今年も遅刻日数過去最多更新だよ!毎年遅刻日数を更新してくるというその睡眠への飽くなき欲求、ナイスですね!」

「締切期限絶対杉男くん!今年も一回も期限内に書類を提出しなかったけれど来年は期限を守ってくれるのかな?え?未来永劫守るつもりはない?素晴らしい!首尾一貫としたその姿勢、尊敬に値しますナイスですね!」

こういう感じで「ナイスですね!」を半ば強制的に言うように仕向けさせられればなんか場がそれなりに和んでくるし、精神的な負い目を感じていても「ナイスですね!」と持ち上げられることにより謎の自己肯定感が湧き上がってくる。

もしかしたら「ナイスですね!」は万能の言葉なのかもしれない。

そうだ、『全裸監督』は今の時代に必要なことを教えてくれる最高級に良質な作品だったのだ。

 

 だって「自分はこの会社に必要ないんじゃないか?」と思った時や上司に散々パワハラされたり人間性を否定されたりした時に「お待たせしました、お待たせしすぎたのかもしれません」と言って退職届を突き出せば何でも許されるような気がしてこないか?

僕はしてこない。

 

※このブログでは常時読者の皆様からの『何の不和もなく円満に退職出来る方法』をコメント欄にて募集しております。